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温泉の入浴法

温泉入浴の方法と効果
温泉入浴のマナーと入り方
湯あたりは中毒症状
慢性疾患治療のための時間湯
砂にうずもれて温まる砂湯
お肌ピッカピカになるには泥湯
箱蒸しと言う独特の蒸し湯
ぬる湯でストレス解消
肩や腰のコリに打たせ湯
痔疾や婦人病に効く温泉

温泉入浴の方法と効果

入浴の効果は、大きく分けて3つと言われます。まず第一に、浮力の作用でからだが軽くなります。全身湯につかると、浮力によりからだ重は約10分の1程度になります。お湯の中でのんびりからだを伸ばしているだけで、足腰が重力から解放されて、心の余裕が生まれます。

第二に、静水圧の作用でお湯に入っただけで、自然にマッサージ効果が得られます。お湯の中では水圧により、からだが数センチ縮まっています。この圧力がマッサージ効果として、血行を促進して足の疲れやむくみを解消し、肝臓や脾臓の機能も高めます。当然のごとく、肺や心臓の弱い人には負担になるので、健康な人でも長湯をしたいときには、水圧の少ない半身浴にしましょう。

第三には、お湯から得られる温熱作用です。からだがぽかぽかに温まると、湯の温度がからだの血行を良くしてくれます。新陳代謝を促進し、老廃物を排出するのを助けます。筋肉や関節の痛みをやわらげ、おだやかな発汗を促進します。この疲労回復につながる湯の入り方は、ぬるめの湯に10~15分ほど浸かるのがポイントです。

1日の入浴回数 1日に2、3回を限度に、長期滞在の1日目は1回入るだけにしておく
1回当たりの時間 お湯の温度にもよるが、初めは3分程度にして、徐々に10分程度まで
1回当たりの時間 入る前に水分を補給し、お湯からあがったら湯ざめに注意して、しばらくは安静にする
厳禁事項 食事をする前後、飲酒をした後やお湯の中で「おはら庄助さん」は禁止
その他 上がり湯やシャワーを浴びて温泉の成分を落とさないように!

温泉入浴のマナーと入り方

温泉の効果を高める入り方

1.湯船に入る前に、身体を洗う。

2.湯船のお湯を、足先から徐々に身体の上のほうへかけ湯(湯桶で5~10杯)する。

3.浴槽にゆっくりと身体を沈め、しばらくしたら半身浴にする。

4.湯船からあがったら、シャワーなどで身体についた温泉成分を洗い流さない。(酸性やアルカリ性の強い温泉の場合や肌の弱い人はさら湯を浴びたほうがよい)

5.コップ一杯の水を飲む。(入浴前にも一杯の水を飲むとよい。)

銭湯でも守りたいマナーと常識

銭湯や温泉は心と身体を癒してくれる最高のリラクゼーションですが、自分さえ気持ち良くなれば良い訳ではない。お互いに裸なのだから、マナーやモラルをわきまえる必要がある。

・かけ湯は自分にとっても意味がある
念のために説明しておくと、かけ湯とは、湯船に入る前に身体を流すこと。シャワーのあるところなら、シャワーを浴びても良い。これは、汚れた身体で湯船を汚さないためだ。もうひとつ、突然熱い風呂に入ると、身体に大きな負担がかかる。身体を温める意味でもかけ湯は重要だ。
・タオルや髪は湯船につけない
また、湯船にタオルや髪をつけることも、マナー上よくないとされている。タオルはお湯を汚す可能性がある。髪もまたフケやホコリでお湯を汚してしまう恐れがあるから、湯船につけるべきではない。何より、抜け毛が浮かんでいるお湯につかるのは、誰にとっても気持ちの良いものではない。

・湯船で潜水なんてとんでもない!
さて、そんな銭湯のマナーを踏まえたうえで、私が最近遭遇した人物は、思ってもみない行動に出た。私が湯船につかっていると、隣の浴槽にいた男性は、突然潜水したのだ。そう、湯船のなかに頭まで潜ってしまったのである。

先にも挙げたように、髪を湯につけるのは良くないとされている。また場所によっては、「湯船で顔を洗わないでください」と貼り紙しているほど。髪と同じく、顔をつけるのも好まれない。

そもそも、「誰が入ったのかわからないお湯に、よく顔をつけるな」と私は思ってしまう。頭の先まで潜ること自体、信じられなかった。だがその人物は、水風呂でもやはり頭まで潜ってしまっていた。あまりの衝撃にギョッとして二度見したほどである。

・前を隠す問題で議論も
「男性は入浴時に股間をタオルで隠すべきか?」というと隠す隠さないで意見が分かれるところだが、少なくとも湯船に入る前まではタオルなどで押さえておくべきで、人の顔の前にぶら下げるのはいかがなものかと思う。

いずれにしても、お互い裸で利用する場所なのだから、ほかの人への配慮や気遣いは必要だと思う。自分だけ気持ち良く過ごせればいいという訳ではない。

湯あたりは中毒症状

温泉の入りすぎると「湯あたり」という中毒症状に陥ります。ドボン、サッと上がる入浴は「カラスの行水」で、味気ないと思っている人が多いかもしれませんが、たった3分の入浴でも半年苦しんだ神経痛が治ったという話も聞いたりします。

しかし、3分入浴の温泉客はほとんどいません。一泊二日の旅行でも最低2回、多い人はそれ以上が殆どです。でも、老人は何度も入浴したり、長湯することは危険です。

短期間に温泉の効果を挙げようとして、一日に何度も入浴すると「湯あたり」を起こします。湯あたりは、だるい、食欲がない、頭が重い、めまい、寒気などの、温泉の入りすぎが原因で起こる温泉の中毒症状です。

こんな症状が出たら、1日か2日入浴回数を減らしたり、飲泉を止めればすぐに治ります。特に酸性泉、硫黄泉、放射能泉は湯あたりを起こしやすいといわれています。

慢性疾患治療のための時間湯

草津の湯には江戸時代から伝わる伝統的な難病を治す時間湯という入浴法があります。草津の源泉はぬるくても50℃以上、熱いところでは94度もあります。この熱い湯とpH(ペーハー)1.5の強酸性の刺激を利用して、からだに強烈な刺激を与えることにより、慢性関節リューマチ、脊髄マヒ、糖尿病など頑固な頑固な慢性疾患を治そうという「時間湯」がそれです。

しかし、50℃以上のお湯には熱くて入浴することができないので、自然に温度を下げる方法として「湯もみ」が考え出されました。医者から見離された難病患者が湯治に多く訪れています。

時間湯は1日4回行われ、入浴法を指導する湯長の号令ので時間を3分間入浴します。幅30cm長さ180cmでお湯をもむことで温度を下げ、湯を柔らかくします。そしてこの「湯もみ」の時に、調子を整えるために歌われるのが「草津湯もみ唄」で、その中でも特に草津節が有名です。

昔の入浴法である時間浴は、「湯長(ゆちょう)」と呼ばれるリーダーのかけ声のもとで、規律正しく行われています。

  1. 湯治客全員で草津節を唄いながら、長さ1.8m厚い板で高温の湯を20、30分かけ、お湯の温度5℃くらいまで下げてお湯を軟らかくします。
  2. 急な入浴による脳貧血を予防のため、頭から熱い湯を20、30杯かぶります。
  3. 全員が浴槽につかったところで、湯長から「そろって3分」と号令がかかり、湯治客が「ヨオーッ」とそれに答えます。
  4. 湯長から「あと1分我慢!」のかけ声で2分が経過。お湯の中ではどんなに熱くても身動きひとつしてはいけません。
  5. 3分たつと湯ぶねから一斉に飛び出すことができます。

この「湯もみ」は、湯治効果を上げるために長い歴史の中から生み出された独自の入浴法といえますが、あまりの荒行であるため、その湯治風景は公開されていません。ただ「湯もみ」のショーが毎日公開されています。

砂にうずもれて温まる砂湯

浴衣を着て砂に埋もれ、ジワジワ温まる温泉は海岸などでよく見かける砂湯の光景です。砂湯が好きな人には、息苦しいほどの砂の重みと、少々暑くても動けないのが良いそうです。特に下から温泉が湧き出しているので、どうしてもお尻の辺りから温まってきますので、あの感触が快感だといいます。

この温泉の蒸気が混じった砂でからだを蒸す「砂湯」は、日本独特の蒸し湯のひとつでもあります。おなじみ鹿児島は指宿の「砂蒸し」は、海岸べりの温泉が湧く砂浜に穴を掘って横たわるもので、自然の蒸し湯の醍醐味が味わえます。

日本国内を見ると、北海道の屈斜路湖畔や大分県の別府にもありますが、以外にもその数は少ないようです。砂湯は50℃以上の温熱効果があるとされ、また砂の重みで血液の循環が促進され、肩こり、神経痛、腰痛などの痛みによく効くといわれています。また、比較的長時間は入れるので、新陳代謝が良くなり美肌効果も期待できそうです。

お肌ピッカピカになるには泥湯

別府温泉の噴気で寝かせた鉱泥を基につくられたパック(クレイ)などが販売されている人気の「泥パック」は、海草パックなどとともに、ヨーロッパやロシアの女性たちには大変愛用されています。

また、泥湯につかる「鉱泥浴(こうでいよく)」は、美肌効果が高いといわれています。鉱泥浴はからだの芯から温まり、浴後も数時間はぬくもりが持続することから、痛みや冷えに症に高い効果があることがわかったのです。普通なら42℃の熱さの湯には10分も入っていられませんが、泥湯は42℃の熱さでも長時間入っていられることでも解ります。

このように泥は水に比べ、熱の伝導率や熱容量が小さいので、高温でも耐えることができるわけです。そのため座骨神経痛をはじめ、関節や筋肉のやわ痛みを和らげるには効果的で、四十肩や五十肩ののコリもとってくれます。また、不妊症、生理不順、更年期障害にもよく効きます。さらに泥土は有機物を溶かし込む性質があるので肌を美しくするのです。

鉱泥浴は、泥土が地肌の余分な脂肪や汚れを取り除き、温泉成分がお肌に潤いを与えます。さわやかな浴後感で、透明感のある肌質にみちびきます。40~50℃の温度で30分以内の入浴でよいとされています。入浴後はシャワーで泥を洗い流し、一時間程度は安静にした方がいいでしょう。鉱泥浴のをした後の爽快感は最高です。

箱蒸しと言う独特の蒸し湯

サウナに近い蒸し湯は、疲労回復に最適ですが、日本では「箱蒸し」という独特の方法で、木箱の中に腰掛け、首から上を外に出して身体を蒸すものがあります。座って顔を外に出しているために、のぼせずに長い時間入っていることができます。

この木箱に入るものの他にも、床下から蒸気の吹き出す小屋に横たわって蒸されるオンドル小屋や、温泉熱で温まった地面の上にゴザを敷き、上からも毛布をかぶつて寝ころんで蒸される地熱蒸し、それに石風呂、釜風呂など、特色のある蒸し湯が全国各地に残っています。

蒸し湯は湯に入るような水の圧力が体にかからないので疲労感や血圧の変動も少なく、40~50℃の高温で蒸されるので発汗作用が激しく、新陳代謝を活発にするため、疲労回復、減量や、肩こり、腰痛、神経痛、リューマチなどの痛みの緩和に効力を発揮します。

ただし、体内に熱がこもるために、高血圧症や動脈硬化の人は注意が必要です。蒸し湯の入浴回数は一日1回までとし、疲れを感じないなど慣れたら一日2回にまで増やします。1回の入浴時間もはじめは5分程度にとどめ、慣れてきたら30分まで増やします。

ぬる湯でストレス解消

ぬる湯にゆったりつかっていると、日頃のイライラや情緒不安定が不思議なほど落ち着いてくるのです。体温に近いぬるめの湯は、神経を鎮め、精神をときほぐす作用があるんです。なぜかというと、ぬる湯の効用で自律神経が副交感神経支配になるからです。

人間の内臓は交感神経と副交感神経という2つの自律神経によって動かされていますが、交感神経が支配すると心臓、肺、胃などがせわしなく働き、逆に副交感神経が勝ると、すべての臓器は休息に入ります。だから、ぬる湯につかると、体の芯からゆつたりくつろげるというわけで、日頃酷使されている神経を休めるには最適の入浴法となるんです。

「ストレスを解消するには自然と温泉に浸るに勝る妙薬はない」と自然療法の学者さんたちはいいます。なかでも、34~38℃くらいのぬるめのお湯に、たっぷりと時間をかけてつかる「持続浴」がお勧めです。「持続浴」をすると、お湯が低温のため発汗や、脈拍や血圧の上昇も少ないため、疲れることがありません。その点では大変中高年に向いています。

長時間入浴することができるため、体の芯まで温めることができて、皮膚や呼吸器から温泉成分が浸透してジワジワ効果を上げます。また、リューマチ、神経痛の痛みを和らげるほか、高血圧症にも効果的です。時間は1時間から8時間、ながら族にはうってつけといえます。

肩や腰のコリに打たせ湯

四十、五十肩、腰痛、神経痛などの中年以降に起きやすい症状で気分が優れない方にオススメしたいのが、「打たせ湯」です。古来の入浴法の中でも解りやすく愛されてきた入浴法です。あまり自然にはないものの、滝に打たれるような神聖な雰囲気もあります。

別名「湯あんま」とも「滝の湯」ともいわれ、その名の通り、身長の2倍ぐらいの吉同さから滝のように激しい勢いで流れ落ちる温泉を-肩や腰などコリの激しい患部に当てるものです。患部を温めると同時に、湯の圧力がかかるのでマッサージ効果が高く、筋肉のコリかんわを緩和します。また湯が落下する時に飛び散でもる湯しぶきによつて辺りの空気には鎮静作用のあるマイナスイオンが多くなり、痛みを和らげてくれます。

落洛ちる湯の圧力は予想以上に激しく、1~2分で皮膚が赤くなりますが、コリのひどいところに当てると気持ちが良く、いかにも効-個所につき5分以内、合わせて釦分ぐらぃ不快な気分にさせられている方にお勧めしたいのが、この「打たせ湯」。日本古来の浴法の中でも古くから愛用されてきたもので、わが国独目の浴法のいわば代表選手。その数も多く、全国各地にあります。にしておく方がいいでしょう。度を越すと、かえつて疲れることになります。

打たせ方のコツとしては、まず心臓より遠い体の先端部、足の裏や足首からはじめ、ふくらはぎ、ひざ、腰、肩の順に当てていきます。湯圧は、立つたり、座ったり、横たわったり、高さを加減して調節します。湯圧は落差に比例しますから、座った姿勢で打たれれば強くなります。急に打たれると、刺激が強すぎ体に負担がかかりますから、タオルなどをからだに当てれば、圧力を和らげることができます。また、打たせ湯の前に入浴し、体を温めておくのも大事なポイントです。

痔疾や婦人病に効く温泉

日本人に多いといわれる痔疾ですが、血行が悪くて発症したと考えられる場合には温泉が有効です。痔は一生の病と悩んでいる方にはうってつけの湯治場で、痔に効くと言われる温泉はけっこう各地にあります。

「痔風呂」といって、床に開けられた小さな穴の上に座ると、下から局部に温泉の蒸気が当たるというものや、「まんじゅうふかし」といって、高温の温泉が流れる桶の上に腰を下ろし、局部を温めるものまであります。局部を温めることで、痔以外に神経痛、腰痛、婦人病、胃腸病などにも効くということで、女性にも人気があります。

そのほか露天のものでは、温泉が湧出る川原に穴を掘り、その上にムシロを敷いて座るものや、川底の石の間から温泉が湧き出すあたりに尻を当てるものもあります。

また、地面に開けた小さな穴から蒸気が吹き上げる温泉などは、上記を直接患部を当てれぱ効果があるといわれています。これらの局所を暖める方法などは、半身浴と同じで下半身を温めることで婦人病などにも効果的です。

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[更新日]2018/07/08